正義と微笑

numb_86のブログ

怒り・飢餓感・上昇志向

 片側顔面痙攣になったが、それは俺の精神史において、非常に大きな出来事のような気がしている。
 そんなことを前回の記事に書いた。
 なので今回、備忘録として、まとめておく。


***


 リラックスしている時は比較的、症状が出ない。そして、小難しいことを考え続けたり、疲労した状態だったりすると、痙攣の頻度が高まる。
 だから恐らく、ストレスが原因なのだろう。素人の勝手な推測だが、肉体と精神に負荷がかかりすぎて、神経が弱ってしまっているのだと思う。


 (少なくとも主観的には)精力的に活動し、思考した。そしてその結果としての、精神バランスの破綻。
 この事態は、俺にとって、「初めての挫折」なんだ。


 これまでずっと、右肩上がりでやって来た。
 灰色で空っぽの学童期を過ごし、そして対人恐怖症となり引きこもっていた16、17の頃を底とし、そこからずっと、這い上がってきた。
 点で見ればいろいろあったけど、線で見れば、右肩上がりだったんだ。


 そりゃあ、失敗や屈辱も、いっぱいあったよ。
 何度も、自己卑下や自己嫌悪に陥った。
 上手くいかないことばかりだった気がする。


 例えば、失業。
 うつ病になって会社を辞め、今も無職だ。
 でもこれは、自分では、挫折とは捉えていないんだよな。
 もともとブラックな環境で、先輩も上司も、うつ病だった。頑なに診察を受けることを拒否していたが、あの後輩も多分、何らかの精神疾患を抱えてしまっているように思える。
 とにかく、そういう環境だったから、そこで潰れた自分がダメだったとは思わない。辞めたくて仕方なかったし、実際に辞めることが出来て嬉しい。


 不手際を重ね、女の子に愛想を尽かされたこともある。
 あれは俺が悪いな……。
 思い出したくない……。


 他にも、いろいろあった。
 でもそれは全て、「個別の」問題だったんだ。
 挫折して、苦しんで、投げ出したくなっても、一通り落ち込んで、また立ち上がればよかった。
 そして再び、その失敗を糧にして、次の課題なり目的なりに向って、歩き始めればよかった。
 そうやって、ここまで来た。


 でも今回は違う。
 個々の問題ではなく、根幹の部分の大戦略が、破綻した。そんな感じなんだ。
 足元から崩れ落ちたというか。
 根本的な方針や、自分のスタイルが否定された感じ。
 これまで右肩上がりで来れたから、これからも上手くいく気がしていた。根拠のない自信があった。
 だからこそ、ショックが大きい。


 これまでの「自分のスタイル」とは何か?
 一言で言えば、怒り、だと思う。

自分はいつも何かと戦っている。何かを敵に見たて、そこに対して怒りをぶつけることで、自分自身の力に変える。見えない敵と必要もないのに戦っている自分がいる。そんな風に思うようになりました。


俺はまだ、強いのか? - 人と組織と、fukui's blog


 俺も、こんな感じだった。


 常に、何かに怒っていた。
 不甲斐ない自分に対してなのか、華やかな日々を過ごす(ように見えた)同世代に対してなのか、あるいはまた他の何かなのか。
 とにかく俺は、怒っていた。あまりそれを人前に出すことは無かったけれど。


 そして、怒りの背景には、「飢え」があった。
 飢餓感。充たされない感覚。
 もっと欲しい、もっと強くなりたい、もっと上に行きたい……。
 ひきこもりという「過去の自分」を、振り払いたかったのかもしれない。分からないけど。


 そういった怒りや飢餓感が、俺の原動力だった。
 不甲斐ない自分を怒り、憎み、隣人を羨み、渇望し、そうすることで自分を奮い立たせてきた。


 それが、ここ10年ぐらいの、俺のスタイルだった。
 必ずしもこれが悪いわけじゃない。
 過去の俺は、よく頑張ったよ。よくここまで来た。


 だけど、このやり方はそろそろ、限界なのかもしれない。
 片側顔面痙攣になって、そのことを思い知らされた。ひとつの契機になったというか。
 怒りや飢餓感に支えられた、上昇志向や拡張志向。バランスや余裕を考えず、怒りに突き動かされるままに一点突破を図る。
 そういうスタイルの限界を、今回、見せつけられた気がしている。