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正義と微笑

numb_86のブログ

ロールプレイを阻むもの

 前回、ゲームという媒体が持つ強みの一つとして、ロールプレイを挙げた。
 だが残念ながら、その強みを活かせていない作品があるのも事実だ。


 前回も書いたように、ロールプレイは、必ずしもゲームに必須のものではない。敢えてそれを省くという手法もあり得るだろう。
 だから、ロールプレイという要素が乏しかったり、存在しなかったりしたとしても、それがそのままゲームとしての欠陥になるわけではない。
 問題は、ロールプレイという要素を取り入れておきながら、それが非常に中途半端なものになっているケースだ。


 ユーザーがロールプレイを楽しもうとしても、ゲームの設計上、それが難しかったり、不可能だったりすることがある。
 RPGにしろアクションにしろ、複数のプレイスタイルが用意されているものは多い。武器の種類を選べたり、流派を選べたり。また、会話の受け答えを、選択肢という形でユーザーが選べることも多い。
 これは、ロールプレイを促進させるのに有効な手法だと思う。ユーザーが、好きなものやしっくり来るものを選ぶことで、よりゲームの世界やキャラクターに入り込める。
 だが、上手く設計しないと、かえって台無しになってしまう。
 ユーザーに選択の余地を与えるなら、基本的には、どれを選んでもそれなりにゲームが進むようにしておくべきだ。*1
 選択肢によってあまりにも難易度等に差が出てしまうと、ユーザーもげんなりしてしまう。「本当はこのタイプの武器を使いたいけど、あまりにも性能が貧弱だから」と、諦めてしまう。
 最悪なのは、「正解」以外の選択肢では、ゲームが進行できなくなってしまうパターンだ。結局、また戻って、「正解」の選択肢で進めることになる。何か意味があって敢えてそうしているのなら構わないが、ムダとしか思えないケースも、まれにある。
 こんなことになるぐらいなら、最初から選択肢など用意しないほうがいい。一本道であっても、ゲームを面白いものにすることは可能なのだから。


 以上は、選択肢にまつわる問題。だが他にも、ロールプレイを阻むものはある。
 ゲームに限らず、小説でも映画でもアニメでも、「ああ、これは作り物に過ぎないんだな」と思わせてしまうと、ダメだ。許容できないレベルでの設定の矛盾や、行き過ぎたご都合主義。そういうのを見せられると、ユーザーは萎えてしまう。冷めてしまう。
 せっかく物語の世界に入り込んでいたのに、冷水を浴びせかけられた気分になる。
 それを防ぐには、しっかりと世界観を作りこみ、シナリオや設定の質を高めていけばいいのだと思う。


 だが、ゲームの場合、シナリオや設定以外に、「システム」にも気を付けなければならない。シナリオには問題がなくても、システムのせいで、リアリティや世界観をぶち壊してしまうケースがある。
 次の記事が、非常に分かりやすい。


 心を亡くした四人のゲーマー - やねうらお−ノーゲーム・ノーライフ


 いい年した大人たちが、ロールプレイに夢中になっていた。ゲームのなかのキャラクターになりきって、村の娘を必死に護衛していた。ゲームとして大成功だと思う。
 しかし、村の娘が無敵、絶対に倒されない仕様になっていることが分かり、一気に冷めていく。ロールプレイという幻想が、解けてしまった。
 上の記事に書かれているように、これは、ユーザーの意識の問題というよりは、設計上のミスと言ったほうがいいだろう。


 このように、ゲームの場合、いくらシナリオや設定、ビジュアルなどに力を入れても、システムの設計に失敗することで台無しになってしまうことがある。
 これが、ゲームを設計する難しさであり、面白さでもあるのだろう。
 失敗した時のダメージは大きいが、システムを上手く利用できれば、演出として非常に効果的だと思う。
 最初に紹介した「選択肢」もそうだが、他の媒体では決して出来ない演出や表現方法だ。
 ここらへんを上手く機能させていければ、「ゲームならではの作品」というものを、もっと追求していけるはずだ。
 ゲームにはまだまだ、伸びしろというか、引き出しきれていない可能性が、たくさん詰まっていると思う。

*1:もちろん、敢えてそうしない、という作り方もあるとは思う。