読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

正義と微笑

numb_86のブログ

「食い扶持」を創る

 相次ぐ過労死、矛盾に満ちた就労支援、茶番のような就職活動、猛威を振るうブラック企業……。
 課題が山積みの労働分野。
 どれも以前から指摘されているにも関わらず、なかなか改善しない。


 突き詰めていけば、どれも、「まともな雇用が存在しない」というところに行き着く。


 なぜ過労死過労自殺するまで働いてしまうかといえば、他に仕事がないからだ。辞めてもすぐに次の仕事が見つかるのなら、さっさと辞めている。
 仕事より命が大事なのだから早く辞めましょう。それはまったく正論だし、そうすべきなのだが、仕事がなければ命を守ることも出来ないのが現実だ。
 そして、過労死が発生するような労働環境の場合、スキルアップは難しく、転職も出来ない。


 その人の特性や事情を考慮したオーダーメイドの就労支援、というのは非常に難しく、近視眼的で画一的な支援になってしまっていることが多いように思う。それはもちろん、支援者が悪いから、などではなく、単純に雇用が無いから。
 どんなに綺麗事を並べたところで、働かなくては、食べていけない。被支援者を就職させなければならない。求人が豊富にあるのなら、一人一人に合った進路を提案・サポートできるかもしれない。
 だが実際には、就職市場はとても厳しい。結果的に、どこでもいいから求人に押しこむ、という形になる。非正規だろうと、定着率の悪い職場だろうと、考慮していられない。選べる余地はないのだ。*1


 就職活動の矛盾や下らなさといったものは、かなり以前から指摘されている。しかし、いつまで経っても改善されることはなく、相変わらず多くの学生を振り回している。
 なぜか。
 いくら文句を言おうとも、結局は、就活レールに乗っかって大企業を目指すのが、ベターな選択肢だからだ。就活に違和感や嫌悪感を抱いていても、そのシステムに依存しなければ生きていけないのが現実。就職難のこの時代、敢えて就活から降りるのはあまりにもリスキーだ。
 そのため、大多数の学生がナビサイトにエントリーする。こうして、就職活動というシステムは、変革されるどころかますます強化されていく。


 「ブラック企業」という言葉は、それなりに市民権を得てきた。論者ごとに前提や認識にバラツキがありすぎて議論が成り立っていないような気もするが、労働者を使い潰す企業を問題視する風潮が生まれつつあるのは、いいことだ。
 だがそれでも、ブラック企業を淘汰していくことは、容易ではない。就活同様、「問題であることは分かっているが、それに依存せざるを得ない」構造になっているからだ。
 他に仕事がないから、どんなにひどい待遇でも従業員は辞めない。就職難だから、就職希望の学生は勝手に集まってくる。
 もし、労働者や学生がもっと自由に職を選べるなら、誰もブラック企業になんて入らないだろう。自然とブラック企業は淘汰されていく。


 全て、「まともな雇用」がないというところに行き着く。
 労働力市場が、供給過多になっているのだ。雇用に対して、「働きたい人」が多すぎる。ほとんどの人は働かないと食っていけないのだから、「働きたい」といよりは、「働かないといけない」のほうが正確だけど。
 いわゆる「買い手市場」になっている。だから、買い手である企業の立場が強く、売り手である労働者は立場が弱くなる。理不尽な労働環境にも、制度にも、屈するしかない。
 企業側からすれば、現状のままでも十分な量の労働力が供給されるのだから、労働環境や選考制度を改めるインセンティブがない。


 どうすれば、この現状を変えられるだろうか。
 一番いいのは、景気を回復させ、経済成長を実現することだ。そうして雇用を生み出す。きちんとした待遇を用意できるだけの利益を、企業が得られるようにする。それが「王道」だと思う。福祉に力を入れるにしても、無い袖は振れないのだから、まずは経済成長によってパイを増やさないといけない。


 だがこれは、マクロの話であり、政府や日銀の仕事である。個人でどうにか出来ることではない。上手くいくとしても、時間がかかるだろう。
 我々のような一個人は、どうすればいいのだろうか。
 どうすれば、厳しい労働環境から逃れられるのだろうか。


 企業に頼らず自力で食い扶持を稼げるようになる、その方法を見つける。
 これが唯一の解決策のように思える。
 雇用がないのなら自分で「仕事」をつくり食い扶持を稼ぐ、そういう考え方。


 少数派ではあるが、実践している人たちが既にいる。
 ニート引きこもり名人漫画読み小屋で自給自足


 もちろん、これはこれで厳しい道である。あまりにも「特殊」で、誰にでも出来ることではない。
 だけどとにかく、出来る人から始めていって、モデルケースを増やしていくべきだと思う。
 新しい動きをする人たちが少しずつ増えていき、様々なロールモデルが生まれる。
 それによって「食べていく方法」の選択肢が増えれば、社会は豊かになり、多くの人が幸せになれる。


 辛くなったら辞めることが出来るし、就活なんていう茶番に無理して付き合う必要はない。生き方の選択肢が増えれば、就労支援もより充実したものになる。単に就労を斡旋するのではなく、一人一人の被支援者に合った進路を模索できる。自由に生き方を選べるようになり、いい意味で雇用の流動化が進めば、ブラック企業も態度を改めざるを得ないだろう。そうしないと人が集まらないのだから。
 また、それまでは無業者や失業者として扱われていたり、ブラック企業でクタクタになりながら働いていた若者たちが、それぞれの適性に合った活動をすれば、そのぶん、社会は豊かになる。眠っていた資質が掘り起こされることになるのだから、社会にとってもメリットがある話のはずだ。


 各自の適性や能力に合わせて、身の丈にあった「食い扶持」を、自分で創り出す。経済成長が望めないのであるならば、これがほとんど唯一の解決策ではないだろうか。


***


 告知。

 食い扶持を創る方法を皆で考える、「働かないで生きるには」というイベントを今月25日に開催します。

 詳細やお申し込みはこちら

「働かないで生きていくための方法」をたくさん集め、皆でシェアしたいと思っています。
ア○ウェイとかFXとか、そういうのではなく、でも移住とか自給自足とかそんな極端な話でもなく、もっとナチュラルに、誰でもできそうな方法で働かないで生きていく方法はないのか?
けっこう真面目に考えてみたいと思います。

*1:ここらへんの話は、以前も書いた。http://d.hatena.ne.jp/numb_86/20121207/p1