正義と微笑

numb_86のブログ

梅田望夫が夢見た世界

 先日、梅田望夫氏の対談記事が上がっていた。
 【梅田望夫氏×武田隆氏対談】(前編)「あちら側」と「こちら側」はまだ遠い?ベストセラー『ウェブ進化論』著者が『ソーシャルメディア進化論』著者に訊く!|ソーシャルメディア進化論2014|ダイヤモンド・オンライン


 てっきり、もう表舞台には戻ってこないのかと思っていたから、少し驚いた。
 かつてネットで熱心に情報発信をしていた氏だが、いつからか、ネットの世界から姿を消した。
 ハッキリしたことは分からないけど、やはり、日本のネットに幻滅したのが、理由の一つなんじゃないだろうか。


 かつて氏は、「日本のウェブは残念」だと語ったことがある。そしてそれが、かなり派手に炎上した。氏を叩く文章が、たくさん書かれた。
 日本のWebは「残念」 梅田望夫さんに聞く(前編) (1/3) - ITmedia ニュース


 リアルタイムではこの騒動を知らなかったから、当時の雰囲気は分からない。だけどいま見返すと、その反応のほとんどが、氏への感情的な反発に見える。
 実際に上の記事を見てもらえば分かるけど、それほど偏った意見は言ってないし、アンフェアな立場から何かを罵倒しているわけでもない。というか、あくまでも「個人的な好みや願望」と何度も前置きをして、語っている。
 にも関わらず、「けしからん!」「梅田はオワコンwww」みたいなことを言う人たちが山ほどいたようなのだ。そのことが、「残念」であることを実証しているようで、本当に残念な気分になってくる。


 どうして、ここまでネガティブな反応が発生したのか。
 完全な推測だけど、当時の梅田氏は「ネットの擁護者」のように思われていたのだと思う。インターネットの魅力、素晴らしさ、可能性、価値。そういったものを、著書やネットで、力強く語っていた。
 その氏が「残念」と語ったことで、「裏切られた」ように感じたのだろう。それで、激昂した。


 だが、氏が「残念」だと発言したのは、当然だと思う。
 氏が理想としていたもの、好きなもの、こうあって欲しいと願ったもの。それは全く、実現しなかった。現実は、全く違う方向に進んでいった。


 では、梅田氏が夢見た「ウェブ」とは一体どのようなものだったのか。
 自分なりの解釈を交えて言語化すると、以下のようになる。かなり、俺の主観や願望も混じっているけれど。


 自分を高め、より先に進む。そのための道具、インフラとしての、インターネット。
 インターネットを利用することで、自分を高めることが出来る。何か「善い目的」があり、そのための手段として、ウェブがある。
 ウェブには、それだけの力がある。
 ウェブのお陰で、誰でも情報の発信者になれるようになった。これまでは埋もれていたような人物が、世にでることが可能になった。総表現社会。そしてその結果、無限とも思えるほどの膨大な知見が、ウェブに集積されていく。知のオープン化であり、アーカイブ化。誰もがほぼ無料で、大量の情報にアクセスできるようになった。才気のある人は、インターネットを使ってどこまでも学習できる。学習の高速道路。そしてそこで得たものを、ネットに吐き出す。こうしたまた、ネット上の知見や情報が増加する。
 そういった、ポジティブな循環。ポジティブなフィードバック。そしてそこには、誰もが参加できる。ウェブに接続さえ出来れば、誰もが参加者になれる。その意思さえあれば、誰でも、ウェブを駆使してインプットとアウトプットを繰り返し、自分を高めていける。上手くウェブを使いこなせれば、凄まじい成長スピードを得られる。
 こういった形でウェブを使いこなす人が増えてくれば、その分だけ、ウェブの世界はさらに豊かになっていく。ウェブの参加者たちは、消費者や傍観者ではなく、主体的で能動的な発信者となる。ただ利用するのではなく、自分もウェブの世界に参画していく。何かを作っていく。何かを置いていく。そしてそれは、他の誰かの教材として、役に立つ。その誰かもまた、ウェブで学んだことを活かし、何かを作り出しネットに産み落とす。その循環。双方向のフィードバック。
 ウェブで共有されるのは、狭義の「知識」だけではない。機会もまた、共有される。総表現社会は、誰しもに、機会を与える。文章を書いて発表することも、プログラムを公開することも、アートで何かを表現することも、ビジネスをやってみることすら出来る。隠れていた才能たちが、ウェブによって、表に出てくる。質の高い発信や表現を続けることで、「何者か」になる。そういう人がたくさん出てくるだろう。そこまでいかなくても、誰かの目に留まり、何かのキッカケを掴めるかもしれない。一緒に何かをやる仲間が見つかり、もっと大きなことを出来るようになるかもしれない。
 インプットとアウトプットを繰り返す学習の場。何かを表現し、実践する場。機会に出会う場。


 かなり長くなったが、概ねこんなところではないだろうか。
 件のインタビュー記事で梅田氏は「上」という言葉をよく使っているけど、まさに「上に行く」ための道具。自分を高めてくれる、強力な武器。そしてそれは、万人に開かれていて、誰でもアクセスできる。むしろ、多くの人が積極的に参加すればするほど、ウェブはその力を増し、パワフルになっていく。
 そんなイメージ。


 そしてこれは、俺が理想とするものでもある。
 日本のウェブが残念なことは俺も知ってるし、それを証明する事例もたくさんある。『ウェブ進化論』が出たのは2006年だし、こういう言説自体が古いという可能性もある。
 だけどそれでも俺は、自分を高めるためにウェブを使いたい。そういう使い方をしたいし、ウェブがよりよくなるよう、貢献したい。ウェブを活用することで、自分の人生をよくしたいし、ウェブの進化に少しでも貢献したい。


 以下のような生き方が、ロールモデル。これもまた、古い記事だけど。
 連載:変な会社で働く変な人(2)「ココログ」開発者、はてなへ (1/3) - ITmedia ニュース

ブログを通じてたくさんの人と知り合った。自分と同年代でも、驚くほど優秀な人がいた。ネットビジネスやWebプログラミングの知識が、自分には足りないと気付いた。本を読み漁り、学んだ成果をネットに吐きだした。

 その結果この人は、社長に誘われる形ではてなに入社する。


 特集:変な会社で働く変な人(3):2ch発「Mona OS」作者がはてなに来た理由 (1/2) - ITmedia ニュース

蓑輪さんは活動拠点を広げ始める。2003年7月、Mona OSのWikiを設立。Wikiには2chを嫌う技術者も現れ、支援してくれた。技術ブログが多く集まる「はてなダイアリー」でつけ始めた開発日記も、すばらしい技術者との交流を生んだ。
レベルの高い技術者との交流が深まるほど、焦りは高まった。「同い年なのに、自分の20倍の生産性を持っている人がいる。一生かかっても追いつけない」――人生の大半の時間を、学ぶことがほとんどない仕事に費やす毎日。平日の帰宅後と休日をフルに使って技術を磨いても、限界があった。

 この人も、はてなに入社。その後、ツイッター社に就職するなどしているらしい。


 俺は多分、エンジニアにはならない。
 だけど、自分なりにポジティブなウェブの使い方をしたいし、自分の人生もポジティブなものにしたい。
 有意義な生き方をしたいんだ。