正義と微笑

numb_86のブログ

慎泰俊『正しい判断は、最初の3秒で決まる 投資プロフェッショナルが実践する直感力を磨く習慣』


 成功した者は皆、努力している。
 努力が報われるとは限らないし、無駄な努力というものもある。が、努力せずに偉大なことを成し遂げることは、有り得ない。
 偉人や天才たちのストーリーを見れば、彼らの生活は努力で満ちていることが分かる。
 天賦の才だけでは不十分で、地道な努力こそが成功をもたらす。むしろ努力を積み重ねれば、生まれ持った才能などなくても、偉大な仕事を成し遂げることが出来るのかもしれない。
 偉人に肩を並べることは出来なくても、価値ある生き方を出来るかもしれない。


 しかし同時に、「努力できる」ということもまた、一つの才能だと感じたことは無いだろうか。
 私はそうだった。
 凡人にはそもそも、「弛まぬ努力」など出来ない。
 逆境を乗り越える力、驚異的な行動力、彼らは努力の天才である。
 とてもああはなれない。自分には無理だ。彼らとは違う人間なんだ。そう感じていた。
 努力の大切さを説かれてもそもそも、凡人には努力することすら難しい。
 努力できるかどうか自体が、才能によって決まっている。
 偉人たちの狂気じみたストーリーを知るたびに、「自分は彼らのように努力することなど出来ない、だから自分はダメなんだ。何かを成し遂げることは出来ない」と思っていた。


 本書を読めば、そのような考え方は誤りだということに気付く。
 天才には、天才たる所以がある。彼らが努力の天才であるのには、理由がある。
 偉人たちはなぜ成功を掴むことが出来たのか、彼らはなぜ困難を乗り越えることが出来たのか。その理由を合理的、論理的に分析していく。本来のテーマとは異なるかもしれないが、私はそのように本書を読んだ。成功やイノベーションに到達するまでの過程を科学的に分析しようと試みており、説得力のある仮説を提示している。
 その秘密を知ったところで天才にはなれないかもしれないが、自分なりの成功を掴めるかもしれない。今までよりも大きな成果を、得られるかもしれない。


 大きなことを成し遂げるためには、何度も困難を乗り越えなければならない。
 そして、アイディアや発想も不可欠。
 それらを生み出すのが、「直感と信念」である。
 直感は、アイディアや解決策をもたらす。信念は、長く続く試行錯誤の日々を支える。
 「直感と信念」とは、どのようなものなのか。どのように、我々の生活に関わっているのか。それが本書の主題である。
 様々な角度から、「直感と信念」について論じている。
 「直感と信念」の重要性を理解し、それを意識的に養うことが出来たら、我々のような凡人でも少しは何かを成せるはずだ。


 結論を言えば、「経験」こそが、直感や信念を生み出す。詳しくは本書を読んで頂きたいが、濃密で良質な経験を重ねていくことで、人は様々なことを学んでいく。学び、考え、実践する。その試行錯誤の日々のなかで、言葉では表現しきれない様々なものが自分のなかに蓄積されていく。それは明確な形を持たず、決して論理的に説明できるものではないが、感覚や暗黙知として宿っている。それこそが、信念を育て、やがて直感をたぐり寄せる。


 資質の違いはある。環境による差もあるし、運の要素というものも、非常に大きい。
 誰もが偉人やイノベーターになれる訳ではない。
 だが、近づくことは出来る。
 これからもっと経験を重ね、目の前の課題に取り組み続ける。そうすることで直感や信念を養えば、自分も彼らのようになり得る。それは私にとって朗報だった。
 自分にも可能性がある。自分も、彼らのように多くのものを生み出せるのかもしれない。それを知ることが出来た。
 「生まれながらの才能」で全てが決まってしまうことなどなく、これまでの経験や人生こそが、ものを言う。
 これは嬉しい事実だ。天才ではない私にとって。努力さえすれば、彼らに近付ける可能性があるということなのだから。飛躍や逆転の目は、まだある。