正義と微笑

numb_86のブログ

イギリスで行われたキャメロン政権の緊縮財政まとめ

 本日、イギリス労働党の党首選に勝利し、ジェレミー・コービンが新しい党首となった。
 彼の特徴の一つが、現政権が進めている緊縮財政に反対し、大規模な公共支出を主張しているということだ。

 2015年の総選挙で躍進したスコットランド国民党のニコラ・スタージョンも、積極財政を主張している。


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 なぜ今、コービンやスタージョンのような積極財政を唱える政治家に注目が集まっているのだろうか。
 当初は泡沫候補と思われていたコービンが党首選に勝利できたのは、なぜだろうか。

 それを知るためには、2010年から続いているキャメロン政権について、知る必要があると思う。
 キャメロン政権が緊縮策を推進したからこそ、それに対するアンチテーゼとして、ジェレミー・コービンたちに人気が集まっているからだ。

 保守党が進めてきた緊縮策と、それに対するイギリス国民の反発があったからこそ、積極財政だけでなく核の放棄や王室廃止を唱え、労働党内でも異端として扱われていたコービンが注目されるようになった。


 では具体的には、キャメロン政権はどのような政策を進めたのだろうか。
 それを知ることで、コービン台頭の意味をより深く理解できるはずだ。


 2007年から発生した世界的な金融危機の際、イギリスで政権を担っていたのは労働党だった。

 金融危機の影響でイギリスの財政は厳しい状態であったが、当時のブラウン政権は、景気対策を優先させた。

 その結果、財政赤字は危機的状況となり、2010年の総選挙でも、これが争点となった。
 結果は、早期の財政再建を訴えた保守党が勝利。自由民主党と連立を組んだ保守党は、公約通り緊縮財政を展開していくことになる。

 公務員の削減、福祉予算の削減、大学授業料の大幅値上げ、など。
 強い反発を受けながらも緊縮財政を断行し、2015年の総選挙でも勝利、保守党は過半数の議席を得た。
 今後も緊縮財政が続くと見られ、それに反発する人たちの期待を受けて、ジェレミー・コービンが台頭した。


 以下、詳しく見ていく。

金融危機発生と、その対応

 従来、イギリス財政は安定しており、先進国のなかでも優等生とされてきたという。
 ゴールデン・ルールやサステナビリティ・ルールなどの財政運営規定によって、財政規律が保たれていた。

 ゴールデン・ルールとは、政府の借入は投資目的のみに行う、というルールである。つまり、国債発行額は投資額を上回ってはならず、それ以外の支出は借入以外でまかなうことになる。
 サステナビリティ・ルールは、政府債務残高の対GDP比を、安定的な水準で維持しなければならない、というルール。

 これらの規定により、放漫財政に陥ることを防ぎ、イギリス財政は安定した水準を保っていた。

参考:
政権交代後の英国の経済、財政運営について -保守・自民連立政権による新たな予算を中心に-
財政制度等審議会 財政制度分科会 海外調査報告書 平成21年6月


 その状況を一変させたのが、世界的な金融危機である。
 当時は労働党のブラウン政権だったが、経済の悪化に歯止めをかけるため、2010年3月までに総額200億ポンド超の景気対策を実施することを決定した。

 付加価値税(消費税にあたるもの)の一時的な引き下げや、年金受給者への一時金の支給などを実施。
 また、2010年度に予定されていた政府による投資支出を、2008年度や2009年度に前倒しして執行することで、景気を刺激しようとした。

参考:
財政制度等審議会 財政制度分科会 海外調査報告書 平成21年6月
諸外国の景気対策と財政状況 平成21年3月17日 財務省主計局


 これらの景気対策について、効果はあった、とされている。
 2009年にはマイナスだった経済成長率は、2010年からはプラスに転じている。

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(出典:世界経済のネタ帳)


 とはいえ、後述するように2010年5月には政権交代が起こっているため、どこまでがブラウン政権の効果であるかは判断が難しい。

 ただ、四半期でみると、2009年の10月~12月にはプラス成長となっているため、やはりある程度の効果はあったのだと思われる。

参考:
政権交代後の英国の経済、財政運営について -保守・自民連立政権による新たな予算を中心に-


 しかしその代償は大きく、イギリス財政は急激に悪化する。
 積極的に支出を行い、かつ、減税も行ったのだから、当然赤字は拡大する。

 ブラウン政権は財政よりも景気対策を優先しており、この不況時に従来の財政規律を順守するのは頑迷であるとして、上記のゴールデン・ルールやサステナビリティ・ルールの適用も、一時的に逸脱することにしている。

 無論、財政を軽視していたわけではない。
 新たな財政運営規定を導入し、将来的には財政再建に取り組むことを明示し、数値目標も掲げた。
 景気回復を優先させつつも、長期的に財政再建を行っていくという方針だった。

参考:
財政制度等審議会 財政制度分科会 海外調査報告書 平成21年6月


 しかし、急激な赤字拡大はやはり問題視され、2010年5月の総選挙でも財政政策が最大の関心事になる。

財政収支(対GDP比)

イギリス ドイツ イタリア フランス ギリシャ
2006年 -2.92 -1.60 -3.59 -2.34 -6.11
2009年 -10.82 -3.00 -5.27 -7.16 -15.25

単位: % 出典は世界経済のネタ帳


2010年5月イギリス下院総選挙

 労働党も、野党だった保守党も、財政再建の重要性を認識していた。
 違いはあくまでも、比重の置き方だったようだ。

 前述のように労働党は、あくまでも景気回復を優先させ、柔軟に財政政策を行っていく方針。過度な緊縮は経済を弱体化させ、それによって税収が減っては元も子もないと主張。公共支出の削減は2011年からとした。

 一方の保守党は、このまま財政状態が悪化すれば国の信用が失われ、景気が失速してしまうと主張。2010年から公共支出の削減を行うとした。

 ただ、公共支出の削減は不人気政策であるため、両党とも、詳細の発表は避ける傾向にあった。

参考:2010年総選挙を読む - 英国ニュース、求人、イベント、コラム、レストラン、イギリス生活情報誌 - 英国ニュースダイジェスト


 結果は、保守党が307議席を獲得して第1党となった。
 しかし過半数には届かず、得票率も36.1%であった。
 保守党は自由民主党と連立を組み、キャメロン政権が誕生する。

参考:BBC NEWS | Election 2010 | Results | United Kingdom - National Results


 選挙結果には様々な要因があるが、取り敢えずは、緊縮政策を掲げる保守党が信任を得た、と言っていいのだろう。
 保守党は公約通り、緊縮策を進めていくことになる。

緊縮政策の中身

 発足したキャメロン政権は早速、6月に緊急予算案を提示。その際に行われたオズボーン財務大臣による予算演説で、緊縮財政を行っていくことを明確に示した。
 演説でオズボーン大臣は、緊縮策を行わなければ、金利上昇、企業倒産、失業の急上昇等、厳しい結果に直面すると主張。
 そして緊縮策の内訳は、7割以上を歳出削減、残りを増税、というバランスで行うとした。

 歳出削減については、公務員給与の2年間の凍結、「子ども手当」の3年間の凍結などを行い、医療保険・海外援助以外の部門の予算を、向こう4年で25%削減するとの見方を示した。

 増税については、付加価値税の引き上げ、銀行税の新設などを行う。
 その一方で、減税も同時に行い、所得税の控除額拡大や、法人税の引き下げ、などを実施するとした。

参考:
政権交代後の英国の経済、財政運営について -保守・自民連立政権による新たな予算を中心に-


 そして、2010年10月、「Spending Review(歳出見直し)」(以下、SR)という文書が発表され、歳出計画の詳細が発表された。
 今回のSRには、次の総選挙まで、つまり2011年度から14年度までの4年間についての各省の歳出計画が記されており、この内容に沿って緊縮政策を進めていくことになる。

 このSRによると、2014年までの4年間で総額810億ポンド(約10兆5300億円)の歳出削減を目指しており、そのために各省平均で19%の歳出削減を行うとした。
 上述した予算演説による「25%」よりは後退したものの、戦後最大の歳出削減であることに変わりはない。
 例えば、以下のような施策が示された。

  • 2014年までに、公務員を49万人削減。
  • 国民年金の支給開始年齢を、2020年に65歳から66歳に引き上げる。
  • 大学教育への支出を40%削減する。
  • 2014年度まで、福祉への支出を年間70億ポンド(約9100億円) 削減する。

 その一方で、医療、教育、国防などの「国家の最優先事項(オズボーン財務大臣)」は例外とされ、医療への支出については11年度から4年連続で引き上げ、イングランドの公立小中学校向け支出は実質ベースで11年度から4年間、毎年0.1%引き上げるとされた。

 それでも、この過酷な緊縮策に対して国民のあいだには動揺が広がり、景気への悪影響や、失業率の悪化、社会的弱者への打撃などが心配された。

参考:
イギリス政府の歳出削減計画が明らかに - 英国ニュース、求人、イベント、コラム、レストラン、イギリス生活情報誌 - 英国ニュースダイジェスト
4年間で10兆円の歳出削減に挑むイギリス


歳出削減

 注目が集まり、インパクトが大きかったのは、公務員に関するものと、大学の学費に関するもの。日本語でも情報を集めやすかった。


 公務員の削減と、賃金カット。

 2010年10月のSRで、国・自治体合わせて553万人いる職員を、2014年度までに49万人、つまり1割近く削減する方針が打ち出された。2010年6月以降、2012年度末までに既に、約50万人の国家公務員中9%(43,000人)が削減された。

 昇給も数年間凍結され、その後も非常に低い昇給率に抑えられたため、インフレを加味すると実質的な賃金カットになったという。

参考:
平成23年度 年次報告書
英経済の傷を広げた痛みの伴う緊縮財政 | ビジネス | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト


 大学の学費値上げ。

 2010年10月のSRにて、今後4年間で、高等教育を所管する「ビジネス・イノベーション・職業技能省(BIS)」の予算が25%、高等教育機関への補助金が40%、それぞれ削減することが発表された。

 と同時に議会は、大学が収入を確保できるようにするため、授業料をこれまでの最高額3,290ポンドから、最大で9,000ポンドまで引き上げられるようにすることを承認した。

 政府には、(優秀な学生が逃げることを恐れるため)実際に学費を上げる大学は多くないだろうという読みがあったらしい。

 しかし実際には、2015年度現在、全体の76%の高等教育機関が、数コースもしくは全コースにおいて9,000ポンドの授業料を設定している。全てのコースで9,000ポンドを設定している機関も、25%もある。

 全体の平均授業料は、奨学金などのあらゆる経済的支援を加味して計算したとしても、8,280ポンドとなっており、学生の負担はキャメロン政権下で大きく増加した。

 なお、労働党のジェレミー・コービンは大学の授業料無料化を唱えており、これも、彼に若者の支持が集まる一因になっている。

参考:
大学授業料を巡る動き-アメリカ、イギリス、そして日本
イギリスにおける高等教育改革の動向
ジェレミー・コービンが人気の理由(その1) : 英国政治ニュース


税制

 2010年6月の予算演説で、付加価値税の引き上げや銀行税の新設などの増税、そして法人税所得税の実質的な減税が発表されていたが、どちらも実行された。

 まず、2011年1月、17.5%だった付加価値税が20.0%に引き上げられた。

 同じく1月、銀行の負債に課税する、銀行税が導入される。その背景には、金融危機の際に銀行に税金を投入されたことに対してバランスを取る、という意味合いがあった。
 予算演説の時点では、2011年が0.04%。それ以降は0.07%という税率が示されていたが、その後も引き上げられていき、2014年1月からは0.156%になっている。

参考:
英政府、総額25億ポンドの銀行税法案を完成
税制 | 英国 - 欧州 - 国・地域別に見る - ジェトロ


 その一方で、減税も予定通り実行された。

 所得税基礎控除は段階的に引き上げられていき、2010年度は6,475ポンドだったものが、2015年度には10,600ポンドとなり、さらに2017年度には11,000ポンドまで引き上げることが予定されている。

参考:
第67回: 2015年度予算案: 日本企業への影響 - 英国ニュース、求人、イベント、コラム、レストラン、イギリス生活情報誌 - 英国ニュースダイジェスト
本税年度の個人向け税制や貯蓄などの改正事項 - 英国ニュース、求人、イベント、コラム、レストラン、イギリス生活情報誌 - 英国ニュースダイジェスト


 法人税も順調に引き下げられていき、2015年4月からは20%という、先進国の中では非常に低い水準になった。

参考:
第67回: 2015年度予算案: 日本企業への影響 - 英国ニュース、求人、イベント、コラム、レストラン、イギリス生活情報誌 - 英国ニュースダイジェスト


 個人的には、緊縮一辺倒ではなく減税も行われていたのは意外だったし、好感を持った。
 また、イギリスは金融立国と称えられているし、銀行ばかり優遇・救済されているという文言も見かけていたため、銀行税の動向も意外だと感じた。

その後の経済動向

 2010年にマイナスとなった経済成長率は、それ以降はプラス成長を続けている。ただ、金融危機以前の水準には戻っておらず、低水準での横ばい、と言える。
 失業率は2011年をピークに、減少傾向にある。

参考:
イギリスの経済成長率の推移 - 世界経済のネタ帳
イギリスの人口・就業者・失業率の推移 - 世界経済のネタ帳


 重要な指標である、財政赤字の対GDP比は、2014年で5.69%となった。2010年6月の予算演説で示された「2015年度には1.1%まで低下させる」という目標は絶望的だが、改善傾向ではある。
 しかし政府純債務残高(対GDP比)については、悪化を続けている。

参考:
イギリスの財政収支の推移 - 世界経済のネタ帳
イギリスの政府債務残高の推移 - 世界経済のネタ帳

2015年総選挙を経て、「より高い賃金、より低い税、より低い給付」へ

 キャメロン政権の発足からちょうど5年後の2015年5月、再び総選挙が行われた。
 各党の支持率は拮抗、前回同様、どの党も過半数を取れないと見られていた。
 しかし結果は、保守党が単独過半数を獲得し、自由民主党との連立を解消、単独政権を発足させた。

 惨敗した労働党エド・ミリバンド党首は辞任。これが、ジェレミー・コービンの党首就任のキッカケとなった。

参考:
2015年イギリス総選挙の行方を探る - 英国ニュース、求人、イベント、コラム、レストラン、イギリス生活情報誌 - 英国ニュースダイジェスト
視点・論点 「総選挙後のイギリス」 | 視点・論点 | NHK 解説委員室 | 解説アーカイブス
Election 2015 - BBC News


 選挙に勝利し続投となったキャメロン政権は、今後も、福祉予算の削減などによって緊縮財政を進めることを明確に示した。
 財務大臣も、連立政権から引き続きジョージ・オズボーンが留任した。

参考:英財務相、7月発表の予算案で福祉予算の大幅削減方針変えず | Reuters


 そして、2015年7月8日に予算案が発表された。
 財政赤字削減のため、2019年度までに年170億ポンドの予算を削減するとしており、その大部分は、福祉予算の削減によって賄われる。そのため、様々な給付金が抑制・廃止されることになった。

 なお、この170億ポンドは、税・社会保障給付などに係るものであり、それとは別に、省庁別の事業予算による削減によって、2019年度までに年間200億ポンドを削減するとしている。その詳細は、11月のSRで公表されることが予定されている。

 政府は、今回の予算案を「働く人々のための予算」(budget for working people)と位置づけており、「低賃金、高課税、高給付」から「より高い賃金、より低い税、より低い給付」への転換を方針に掲げている。

参考:「より高い賃金、より低い税、より低い給付」へ(イギリス:2015年8月)|労働政策研究・研修機構(JILPT)


 まず「高い賃金」を実現するため、25歳以上の労働者を対象に、最低賃金を2020年までに一時間あたり9ポンド以上に引き上げる考えを示した。

参考:英、20年に法人税18%に削減へ 総選挙後初の予算案発表 :日本経済新聞


 そして、企業の競争力を高めるため、既に低い水準にある法人税(現行は20%)をさらに引き下げ、2017年4月1日には19%に、2020年4月1日には18%にするとした。

 2011年に導入されて以降、税率が引き上げられていった銀行税については、今後段階的に引き下げることを表明(そのの代わり、2016年1月から、銀行の利益に8%課税する新税を導入するとした)。

 個人向けにも、既述したように、所得税基礎控除拡大が予定されている。
 さらに、現政権の間は付加価値税所得税、ナショナル・インシュランス(国民保険)の税率を引き上げないことを法規で定めるとした。

参考:
第70回: 今年2回目の予算案 - 英国ニュース、求人、イベント、コラム、レストラン、イギリス生活情報誌 - 英国ニュースダイジェスト
英国、銀行税率を段階的に引き下げ | Reuters
本税年度の個人向け税制や貯蓄などの改正事項 - 英国ニュース、求人、イベント、コラム、レストラン、イギリス生活情報誌 - 英国ニュースダイジェスト


 このように、単なる歳出削減ではなく、減税や最低賃金の引き上げによって「より高い賃金、より低い税、より低い給付」を実現しようとしているキャメロン政権だが、緊縮策によるダメージを緩和する効果は薄く、国民生活を悪化させるものだという懸念が出されている。


 2015年に入ってからも、緊縮政策に対するデモや抗議活動は続いており、予算案が発表された7月8日にも、国会議事堂前で抗議行動が行われている。
 なお、この抗議活動にはコービンも参加している。
参考:保守党政権の予算発表にあわせて行われた、政府の公共支出に対する抗議行動 : 英国政治ニュース


 ただ、既に述べたとおり、経済成長率や失業率を見る限り、景気はさほど悪化しているようには見えない。
 2011年は小売業の倒産が相次いだりもしたが、金融政策などの影響により、持ち直してきているようだ。

参考:
「講座:ビジネスに役立つ世界経済」 【第56回】 「消費税ショック」から脱却しつつあるイギリス | 安達誠司「講座:ビジネスに役立つ世界経済」 | 現代ビジネス [講談社]
高級家具大手「ハビタ」が倒産など - 業績不振が続く英国の小売業界 - 英国ニュース、求人、イベント、コラム、レストラン、イギリス生活情報誌 - 英国ニュースダイジェスト


 いずれにせよ、保守党はこれまでも強い反発を受けながらも緊縮策を押し通してきたのだから、今後もこの路線は変わらないだろう。
 何より、デーヴィット・キャメロン率いる保守党は、2回連続で総選挙に勝利している。得票率は、直近の総選挙では労働党との差はむしろ縮まっているのだが、過半数を制して勝利したのは事実だ。
 緊縮政策が信任されたとして、それを推進していくのが自然だろう。


 一方の労働党は、反核や反王室、そして反緊縮を掲げるジェレミー・コービンが党首に選出された。
 かなり大胆な積極財政を主張しているコービンだが、これまでは労働党のなかでも非本流であり、責任のない立場であったからこそ、好きなように活動できたという側面もあると思う。

 反緊縮を掲げて国民に選ばれておきながら、外圧に負けて持論を撤回したギリシャのチプラス首相のような例もある。

 今後どこまで自分のカラーを出せるのかは不透明だが、しばらくは、財政政策を巡って労働党と保守党の対立は続くのだろう。