正義と微笑

numb_86のブログ

日本国におけるオープンデータの主要な組織とドキュメント

今日、世界各国でオープンデータに関する取り組みが行われており、日本も例外ではない。
オープンデータ推進のための組織が作られ、考え方や方針をまとめたドキュメントが作成・公開されている。
そのうちの主要なものについて、整理した。

高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部

高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)

通称、IT総合戦略本部。
かつてはIT戦略本部だったが、2013年3月に開かれた第60回会合にて改称。
高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部 第60回議事録

それ以前の決定については「IT戦略本部決定」と表記されるらしく、IT総合戦略本部とIT総合本部の表記が混在している。

情報通信技術(IT)の活用により世界的規模で生じている急激かつ大幅な社会経済構造の変化に適確に対応することの緊要性にかんがみ、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に推進するために、平成13年1月、内閣に「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)」が設置されました。

詳しく調べてはいないが、情報通信技術に関する議論や取り組みの本丸のような位置付けだと思われる。

本部長は総理大臣。部員である有識者として、坂村健、松本行弘、村井純、といった大物が名を連ねる。(2016年4月13日現在)
高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部 名簿

電子行政オープンデータ戦略

電子行政オープンデータ戦略

2012年7月4日、IT戦略本部が決定。

公共データは国民共有の財産であり、その活用を促進することは社会経済の発展のために重要であるという認識のもと、そのための基本戦略を定めたドキュメント。
日本のオープンデータ施策の土台となっている。

  1. オープンデータ推進の意義
  2. 現状や課題の整理
  3. 基本的な方向性
  4. 具体的な施策
  5. 推進体制

上記5つが、このドキュメントの主な内容。

また、以下の4つが、オープンデータ戦略の基本原則とされた。

  1. 政府自ら積極的に公共データを公開すること
  2. 機械判読可能な形式で公開すること
  3. 営利目的、非営利目的を問わず活用を促進すること
  4. 取組可能な公共データから速やかに公開等の具体的な取組に着手し、成果を確実に蓄積していくこと

この他、推進体制を構築するために官民による実務者会議を設置・運営すること、公共データ活用のために必要なルール等を整備すること、などが記載されている。
その具体的な形が、後述する電子行政オープンデータ実務者会議や政府標準利用規約である。

電子行政オープンデータ実務者会議

電子行政オープンデータ実務者会議の開催について

電子行政オープンデータ戦略に関する施策について調査及び検討を行うため、年に数回、開催されている。

ここでの議論の内容が、その後の施策に反映される。

実務者会議の下にはさらに、各種ワーキンググループが設置されている。

各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議

IT戦略本部各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議

政府全体が情報化を進めるために、IT総合戦略本部に、CIO連絡会議を設置したらしい。

後述するガイドラインや政府標準利用規約の決定を行っているのがこの会議なので、それなりに権限がある模様。
ただ、この会議の具体的な位置付けや役割などについては、調べてもよく分からなかった。

二次利用の促進のための府省のデータ公開に関する基本的考え方(ガイドライン

二次利用の促進のための府省のデータ公開に関する基本的考え方(ガイドライン)

2013年6月25日、CIO連絡会議で決定。その後、何度か改定が行われている。

各府省が実際にオープンデータを進めていく際の指針、ガイドライン
この内容に基いて、各府省が取り組みを行っていく。

このガイドラインでは各府省に対し、積極的に情報を公開していくことを求めている。

また、ウェブサイトによる単純な情報提供については既に一定の成果が出ているとし、今後は、オープンデータの趣旨を鑑み、機械判読が可能な形式でのデータ公開を促している。
電子行政オープンデータ戦略の原則として掲げられているように、オープンデータにおいては機械判読が重要であり、それにより、大量のデータを素早く横断的に処理、利用できるようになる。

別添には、データ作成にあたってのかなり具体的な留意事項が、数多く記載されている。
表の整形のために余計な空白や改行を入れない、余計な情報をセルに含めない、など。

政府標準利用規約2.0

2015年12月24日、CIO連絡会議で決定。

前述のガイドラインの別添として公開されている。

政府標準利用規約(第 2.0 版)

各府省のウェブサイトの利用規約の、雛形。
CCライセンス4.0と互換性があり、CC BYで利用できる。

国としては、オープンデータの利用を促したい。
そのためには、各府省が著作権に対する考え方を明示し、データの利用を推奨することが重要となる。
そしてそれは、分かりやすく、かつ各府省で統一的であることが望ましい。

そういった問題意識のもと、この雛形が作成された。
各府省のウェブサイトにはそれぞれ、著作権について記載したページがあるが、それらはこの雛形に準拠したものになっている。
以下はその一例。

以下のpdfで、分かりやすく解説されている。
「政府標準利用規約(第2.0版)」の解説

新たなオープンデータの展開に向けて

新たなオープンデータの展開に向けて

2015年6月30日、IT総合戦略本部が決定。

これまでの取り組みを踏まえ、今後の新たな展開に向け、基本的な考え方を示し、重点事項を整理したのが、このドキュメント。

これまでの取り組みは、スモールスタート、まずはとにかく開始し、実績を積み上げていくことを重視した。
それについては一定の成果があったとし、今後は、提供するデータの質の向上や、データの利活用にも積極的に取り組んでいくとしている。

現在公開されているデータは、機械判読や外国語の対応が不十分なものが多い。
また、データの公開と利活用のサイクルも、十分には機能していない。
このような状況を変えるべく、今後は、課題解決型のオープンデータの推進を目指すとしている。

その一環として例えば、府省庁の政策決定過程にオープンデータによる対応の検討を組み込み、実際にオープンデータを活用した場合にはその事例の情報発信を行うことなどが、記載されている。

さらに、地方や海外への展開についても記述されている。
地方公共団体による取り組みの強化、支援を行うと共に、オープンデータ分野での国際的な評価やイニシアティブの獲得を目指すとしている。

【オープンデータ2.0】官民一体となったデータ流通の促進

【オープンデータ2.0】官民一体となったデータ流通の促進

2016年5月20日、IT総合戦略本部が決定。

2020年までを集中取組期間と定め、強化分野を設定し、これまで以上にオープンデータを推進していく。
この取り組みを、オープンデータ2.0と呼称するとした。

一億総活躍社会の実現と、2020年の東京オリンピックパラリンピック。これに関連する分野を、強化分野とした。

基本的には「新たなオープンデータの展開に向けて」の流れを汲んでおり、利活用の推進、地方や海外への展開、などについて言及している。

府省庁においては、2016年夏を目途に各分野の公開・利活用推進に係るKPIを策定し、内閣官房において定期的にその進捗状況を確認するなど、PDCAサイクルを確実に実施するとしている。


いろいろと資料を読んでいたが、思っていたよりもちゃんとしているというか、基本的な考え方や方向性は、非常にまっとうなものだと感じた。
政府標準利用規約ガイドラインを読んでいても、可能な限りデータを公開していく、利用者が萎縮することのないようライセンスや文言には気を配る、などの強い意思を感じた。
後は、これをいかに実現していくかだが、近年のドキュメントを見る限り、不十分な利活用、機械判読への対応の悪さなど、課題の認識も間違っていないようなので、今後の取り組みに期待したい。