ちょっと古い話だけど、はてなモノリスがなんかの賞を受賞したらいい。
ああいう仕事をしてれば、まあ、そういう機会もあるかもしれないね。自分たちの仕事が、形として残る。
俺には、そういうのはない。何かをつくる仕事ではないから。表彰なんかされない。俺が作ったものを誰かが利用するわけでもない。形としては残らん。
世の中に必要な仕事だとは思うし、貢献してるとも思うけど、俺は何かをつくってるわけじゃない。
でかい金額を動かして、難しい金融工学とやらを駆使している人たちなら、何かを生み出してるのかもしれない。
でも俺は違う。
俺が、勇気ある決断を下し、融資を実行して、その資金をもとに融資先の企業が画期的な製品を開発、大ヒットを記録、企業の業績はV字回復。とかなら、まあ、俺の成果といえるかもしれない。でも実際は違う。そんなのあり得ない。そんなんじゃない、俺の仕事は。
融資って言っても、俺が何かをしたわけじゃない。融資したのは会社。カネを貸したのは俺じゃなくて、会社。様々な商品という形で「仕組み」を提供しているのも、会社。俺はただ、決められたルールに則って書類を頂き、作業して、事務手続きをしているだけ。別に俺なんていなくても成り立つ。俺の能力は、関係ない。
俺は何も頭を使ってませんよー。頭を使っていたとしたら、いかにして売り込むか、いかにして融資を利用させるか、その観点のみ。まさに営業。どうすれば融資を利用してもらえるか、どの制度を使えば審査が通りやすいか、そんなんばっか。
何か理念があって融資をしていたら、もう少し感覚を得られたのかもしれない。自分で目利きして、支援したい企業に、ベストと思われる方法で融資を実行する。そうやって融資をしていけば、少しは充実感もあっただろう。
実際は違うからね。理念などない。とにかくひたすら融資する。少しでもボリュームを増やす。それだけさ。もちろん選別を行うけど、それはあくまで、「融資が可能か、融資しても問題ないか」という基準で行われる。反社会的な活動を行わず、きちんと返済してくれる会社だったら、どこだっていいんですよ。というか、選り好みしてる場合じゃない。貸せそうな先があったらどんどん貸していく。そんな毎日。
自分なりに頭を使ってる部分もあるんだろうけど、何かをつくってる感じは、自分の能力を使って貢献してる感じは、しない。
まあ俺は、まだマシなほうなんだろうね。世の中には、コピー機とか教材とかを売り歩かないといけない職業の人たちも、いるんだろうから。